誤認逮捕
概要
誤認逮捕は、下記に述べるように、現行刑事裁判制度においては逮捕制度に内包された起こり得る状態であるため、被疑者の無罪が確定し、なおかつ真犯人を特定できても直ちに違法行為とはならない。
誤認逮捕の発生原因・違法性
発生原因
逮捕は、ある人物に対して犯罪の嫌疑を持った場合に必要性があればなしうるが、捜査機関は逮捕を行うことで犯人の逃亡防止や証拠隠滅を防止し、逮捕した人物を起訴をして有罪判決を得られるだけの証拠を集めるための捜査を行うため、この「嫌疑」はその時点の証拠関係から判明した相当程度のものでよい、とされる。
したがって、必ずしも確実ではないが、その者の逃走や証拠隠滅を防ぐ必要がある場合には逮捕がなしえ、その人物が無実であった場合も含まれうる。
逮捕した者が実は犯罪を犯していなかった、と後から判明することは制度上起こり得る事態で、捜査機関が適切な努力のもとに、適切な確信をもって逮捕行為を行ったとしても、被逮捕者が犯罪行為者ではないことが捜査の結果判明することは有り得る。
- 「先行して逮捕された者」が「無実の者」を共犯者として罪を着せようとする場合もある。逮捕後の捜査でその供述が嘘であり、無実が判明すれば、誤認逮捕であったことになるが、この場合の捜査機関の行為は適切である。
もっとも、捜査機関の完全な怠慢によって、あやふやな証拠を妄信し、事実を確認する捜査を怠ったために誤認逮捕が発生してしまう場合もある。
違法性
一般的には「逮捕された人物」=即座に「犯罪者」と確信されがちであり、被逮捕者が犯罪行為者ではないと判明した場合には、警察発表を信じたマスコミによって「捜査機関の誤り」として報道される場合があるが、逮捕手続き自体は適法である。
逮捕などの捜査機関の行為は、裁判所に対し被疑者・被告人が有罪か無罪かの判断を求めるための行為であり、逮捕から捜査が進んでもなお被疑者が無実であると判明せず、そのまま起訴した場合にもそれ自体は国家賠償法上の違法性を有しない(「芦別事件」最高裁判所判決要旨)。
もっとも、明らかに捜査機関が努力を怠るなどして、無実であることが明らかであるのに敢えて逮捕を行った場合には国家賠償法上違法とされる余地がある。
捜査機関に求められる捜査
2000年代以降の誤認逮捕の例
※逮捕されたが起訴されなかった事件、あるいは逮捕・起訴されたが有罪判決が出なかった事件で大きく取り上げられた事件。
- 2002年6月8日、『ウルトラマンコスモス』第49話放送後、主演の杉浦太陽が本作放映開始前の2000年に起こった傷害・恐喝事件の容疑者として逮捕された。被害者が「事件の一部を虚偽と認める陳述書」を提出したため不起訴処分となった。詳細はウルトラマンコスモスの主演俳優逮捕とその影響を参照。
- 2004年2月17日、店内において女が「泥棒!」と叫び、前に並んでいた老人の男性が、周囲の店員や警察官に長時間取り押さえられ、心臓発作で死亡するという事件が起きた。虚偽で告訴した女は逃走し、行方は判明していない。
詳細は「四日市ジャスコ誤認逮捕死亡事件」を参照
- 2012年10月、警視庁・神奈川県警・三重県警・大阪府警が、犯罪予告を電子掲示板に書き込んだなどとして逮捕した、被疑者の男性と少年について「誤認逮捕だった」として、逮捕した4人に対して謝罪する事態になった[1]。
詳細は「パソコン遠隔操作事件」を参照
- 2014年12月、南海高野線の電車内で痴漢をしたとして、大阪府警察鉄道警察隊の警察官が堺東駅で、元会社員の男性を現行犯逮捕したが、男性は一貫して容疑を否認。警察官らは被害者の女性から、男性に似た人物から痴漢をされていると相談を受けていて、その証言に基づき逮捕した模様だが、翌2015年8月に大阪地方裁判所堺支部が「証拠不十分」として無罪判決を言い渡し、結果は痴漢冤罪だったことが明らかになった[2]。
冤罪との違い
しばしばマスコミなどでは誤認逮捕と冤罪が混同されて使用される。
これに対し、誤認逮捕は逮捕の時点では有罪か否かをこれから判断する状態であり、また冤罪は逮捕を必ずしも要しない。そのため、誤認逮捕と冤罪は厳密には異なる用語である。
もっとも、裁判の結果如何に関わらず、世間的には「逮捕された」という事実と、なおかつ実名報道されるだけで十分に社会的信用を失うに足る(特に、マスコミが「容疑者」の段階で実名を挙げて犯人扱いするかのような報道を行う事が多く、かつ注目度の低い事件に対しては逮捕された段階の報道しか行わない事が多い事が拍車をかけている)。
関連項目
脚注
- ^警視庁も誤認逮捕を謝罪へ 襲撃予告、容疑者供述は虚偽 - 朝日新聞(2012年10月21日)
- ^痴漢事件 大阪地裁支部、無罪判決…警察が誤認現行犯逮捕毎日新聞 2016年4月26日
- サイト内リンク:
- 概要 - 誤認逮捕の発生原因・違法性 - 2000年代以降の誤認逮捕 ...
keiji-pro.com/columns/54/ - キャッシュ
誤認逮捕とは、警察などの捜査機関が無実の人物を逮捕してしまうことです。正式な発表は無かったものの、久保博司氏の著書「誤認逮捕」によると、2010年に起きた誤認逮捕の件数は343件とあります。 現在、年間約40万件もの検挙数がある中で、343件 ...
- サイト内リンク:
- 過去の誤認逮捕の実例 - 誤認逮捕が起きてしまう原因 - もしも誤認逮捕されてしまったら
www.asahi.com/topics/word/誤認逮捕.html - キャッシュ
一方で誤認逮捕などで不当に身柄拘束された場合、刑事補償法に基づいて1日あたり1 千〜1万2500円を請求でき、裁判所が金額を決める。大阪地裁所長襲撃事件で逮捕されるなどした5人は、14歳未満で刑事責任を問われなかった1人を除いて拘束期間に ...
www.sankei.com/west/news/.../wst1805020041-n1.html
2018年5月2日 - 和歌山県警は2日、和歌山県海南市内で4月に発生した傷害事件で、同県内の男性( 20)を誤認逮捕し、その後釈放したと発表した。県警は大阪府大東市に住む会社員の男(2…
www.sankei.com/affairs/news/.../afr1805080004-n1.ht...
2018年5月8日 - 警視庁は7日、免許証の提示を拒否したとして、道交法違反容疑で50代のタクシー運転手の男性を逮捕したのは誤認だったと発表した。男性は逮捕から約1時間40分後に釈放…
news.careerconnection.jp/?p=40490 - キャッシュ
2017年9月11日 - 専門学校生の女性(21)が、アイドルグループのコンサートチケットを譲るとウソをついて4万円をだまし取ったという嫌疑を掛けられ、誤認逮捕されていたことが分かった。9月10 日、徳島新聞が報じた。
matome.naver.jp/topic/1M8AH - キャッシュ
「誤認逮捕」に関する「NAVERまとめ」が集約されたページ。「誤認逮捕」で今話題のまとめが簡単に見つかります。
www.amazon.co.jp/誤認逮捕...久保.../4344982312 - キャッシュ
Amazonで久保 博司の誤認逮捕 (幻冬舎新書)。アマゾンならポイント還元本が多数。 久保 博司作品ほか、お急ぎ便対象商品は当日お届けも可能。また誤認逮捕 (幻冬舎新書)もアマゾン配送商品なら通常配送無料。
gendai.ismedia.jp/articles/-/33978 - キャッシュ
警察・検察の「反省」なんてみんなウソっぱちだった ネットなりすまし殺人予告 誤認逮捕の被害者が「恐怖の取調室」を語った ... 世間を騒がせている「ネットなりすまし殺人予告事件」で、大阪府警に誤認逮捕された北村真咲さん(43歳)の弁護人は、北村さんの怒り ...
news.livedoor.com/誤認逮捕/topics/keyword/5053/ - キャッシュ
誤認逮捕に関するニュース記事一覧。トピックスで扱われた注目ニュースを掲載しています。
無実・無罪を証明してほしい | えん罪で逮捕されたらすぐ相談
広告osaka-keijibengosi.com/刑事弁護人/24時間無料相談
身に覚えのない罪・冤罪防止のため即日接見や即日無料相談にも対応。LINE予約可
刑事弁護・少年事件・土日祝日も即日対応・24時間無料相談受付・家族や友人からの相談もOK