物差しでのど突き、エアガン発射…「階段から転んだことにしておけ」いじめ隠蔽指示、中学運動部顧問の「勝利至上主義」
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「階段から転んだことにしておけ」。いじめを無くすべき立場の部活顧問の男性教諭が言い放った、いじめの口封じ。隠蔽(いんぺい)を図った動機を、この顧問は「大きな問題になると思ったので嘘の説明をした」と語る。問題が起きたのは、全国大会に出場するなど強豪として知られた兵庫県姫路市の市立中学校の運動部。顧問は部活動の継続を優先させたのだ。校長の指示に従わず、いじめに関与した生徒を近畿中学校総合体育大会に出場させたりもしていた。「勝利至上主義の弊害」。事態を重くみた同市教委は、中学校における部活動のあり方を問い直そうと、市内の全35中学校に異例の「部活動運営懇話会(仮称)」を設置する方針を打ち出した。(荒木利宏)
先輩部員から暴行、骨折で全治1カ月
昨年7月7日午前7時20分ごろ。姫路市立中学の運動部副顧問の男性教諭は、足を引きずっている1年の男子生徒を見つけた。顔にはあざもあった。理由を聞き出したところ、この日午前7時ごろから、同じ部の先輩の2、3年生の男子2人からやられたとして、こう告白した。
「頭や顔、体を10回以上たたかれた」
「ふとももや腹部を膝で蹴られた」
「のどを物差しで突かれた」
被害生徒は胸の痛みを訴えており、すぐに病院を受診。胸骨骨折で全治1カ月と診断された。
その後の調査で、この加害生徒2人は、同年4月ごろから、被害生徒を含めた同じ部の1年の男子生徒3人に日常的に暴力を振るっていたことが判明。市教委などによると、下宿で嫌いな食べ物や食べきれなかったものを1年生に食べさせ、食べきれなかった生徒を暴行したほか、1年生がため口をきいたとしてエアガンで撃つなどしていた。また、揮発性の香水を腕にかけて火をつけたり、プールや海に無理やり沈めたりしていたこともあったという。
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